- 個人情報保護に関する規程の整備と職員への周知
- 個人情報の物理的・技術的保護
- 診療におけるプライバシーへの配慮
- 生活上のプライバシーへの配慮
チェックリスト
まずは以下のチェックリストの内容が院内で実践できているか確認してみてください。
ページ後半にリスト内容の補足説明を記載しています。
- 個人情報保護に関する方針が明文化されている
- 個人情報保護に関する利用目的が明文化されている
- 個人情報保護に関する苦情窓口責任者が明確である
- 個人情報保護に関する規定が整えられている
- 個人情報を含む文書を廃棄する際にはシュレッダーや業者による溶解処理などの確実な方法が用いられている
- (努力目標)個人情報に関する研修が開催されている
- サーバー室が常時施錠され、入出制限されている、また入室者は記録に残されている
- 情報システムが外部ネットから遮断されている、または技術的に防衛されている
- USB の使用に関してマニュアル化されている
- データのバックアップ定期的に取られている
- (電子カルテ導入の場合)システム担当責任者が明確になっている
- 外来診療や採血実施の際、廊下から医療行為や患者名が見えないよう工夫がなされている
- 診察室や相談室は個室となっている、個室化できない状況の場合はプライバシー保護に配慮された環境を整える配慮がなされている
- 病棟・病室の入口付近への患者名の表示拒否の要望に対応できる体制が整えられている
- 面会の取り継ぎや入院確認などの問い合わせに対する患者本人の情報開示拒否の要望があった場合に対応できる体制が整えられている
- 病室内での排泄時、清拭時、着替え時などにはプライバシーに配慮されている
- (医療事故発生のリスクがない場合)、病室のドアが閉められている、または病床単位でカーテンによるプライバシーが保護されている
- トイレが男女兼用でない、また廊下などから見える状態となっていない
- 個人情報が記載された記録類や電子カルテの表示画面が患者から見える状態になっていない
補足
チェックリストの中で、抽象的な内容やわかりにくい内容について補足していきます。
こちらを読んでも解決しなかった場合は、ページ下部のコメント欄にてご質問ください。
個人情報保護とICTに関する内容は、時代の潮流もあり近年特に重要視されている内容になります。技術の発展とともに院内の活用方法についても定期的に見直しと改善を実施しておきましょう。
個人情報に関する研修が開催されているかの確認は、参加者や参加人数、参加者の理解度もアンケートなどにより把握できていることが望ましいです。
USBの使用に関しては、使用者名、使用日時、使用目的などが記録に残されていることが望ましいです。院内PCは外部からの攻撃については事前に綿密なセキュリティー対策が施されていますが、USBを差し込むだけで簡単にウイルスの侵入を許してしまうケースもあります。それは個人情報の漏洩にもつながるため、ちょっとしたデータの移動などであったとしても神経質なくらい、扱いには気をつけた方がいいです。
また、USBの外部持ち出しの際には特に注意が必要です。基本的に個人情報の外部への持ち出しはNGです。カルテの内容を学会や研修などへ持っていきたい場合は匿名化できているか確認しましょう。可能であれば複数人で確認がなされている状況が望ましいです。
PC上で表示された電子カルテ画面が第三者から見える状態になっているところに出くわすことが非常に多いです。万が一悪用された場合は大変です。気に留めておいてください。
【トレンド記事】内密出産
赤ちゃんポストを運用している熊本市の慈恵病院で相談員のみに身元を明かした女性が匿名で出産したことが分かりました。国内初の「内密出産」となる可能性があります。(2022/01/04)
【内密出産】
母親が自身の身元を当局に開示されることなく行う出産のことである。以前は頻繁に(特に非嫡出子に対し)行われていた嬰児殺しを防止するために、内密出産は多くの国で何世紀にもわたって法制化されてきた。
内密出産においては母親の情報自己決定権が、子供の権利条約にも規定されている子供の「出自を知る権利」を保留させることになり、母親が意思を変えるか、成長のある段階になって子供が開示を要求する時点まで継続する。
『匿名出産』は母親が当局に全く身元情報を開示しないか、あるいは身元情報を当局が把握しても絶対に開示しないこととなる。
あまよんの個人的見解
内密出産については賛否両論あるかと思います。
内密出産を容認することにより安易な妊娠を助長してしまうことが懸念されます。しかし、内密出産を本当に必要としている人もたくさん存在するはずです。
内密出産は日本では普及しておらず認知度も低いです。公園のトイレで堕して赤ちゃんポストにお願いするパターンが現在では主流になっているのかもしれませんが、医療従事者による介入がないため母子ともに負担やリスクが非常に大きいものとなっています。
内密出産患者を病院として受け入れるか否かの判断を下すのは非常に難しいことだと思います。
そんな中でも判断を下した蓮田健院長と慈恵病院でこの検討に携わった医療関係者の皆様の勇気と判断はすごいものだと思いました。
ちなみに
ドイツでは、子どもの「出自を知る権利」を保障するために内密出産制度が法的に整えられました。
日本の、国としての今後の対応に注目していきたいと思います。